ポータブル電源の超分かりやすい用語集

ポータブル電源に関連する専門用語を、初心者の方でも分かりやすくご理解いただけるようにまとめました。

製品選びの参考にしてください。

ポータブル電源の超分かりやすい用語集

1. 充電規格・機能

  • PD(Power Delivery – パワーデリバリー)
    • USB Type-Cポートを使って、最大240Wまでの給電を可能にするUSB電力拡張規格です。
    • この規格により、従来の充電器よりも速く端末を充電できます。
    • PD充電を利用するには、端末、充電器、ケーブルのすべてがPDに対応している必要があります。
  • PD-PPS(Programmable Power Supply – プログラマブルパワーサプライ)
    • PDよりもさらに効率よく高速な充電が可能PDの拡張規格です。
    • 接続した端末に合わせた電力を細かく調整しながら供給することで、効率的に充電を行います。
    • これにより、端末の発熱を防ぎ、バッテリーの寿命を延ばすことにもつながります。
    • PD-PPS充電を利用するには、端末と充電器がPD-PPSに対応し、ケーブルがPDに対応している必要があります。
  • QC(Quick Charge – クイックチャージ)
    • 米国Qualcomm社が開発した、スマートフォンやタブレットを高速で充電できる規格です。
    • 高速充電という点ではPDと考え方は同じですが、QC2.0・3.0はPDと互換性がありません
    • 一方で、QC4以降の規格はPDと互換性があり、QC4以降に対応している端末であればPD対応充電器でも高速充電が可能です。
    • QC充電を利用するには、端末、充電器、ケーブルのすべてがQC(QC4以降はPDも可)に対応している必要があります。
  • かしこく充電 / Smart IC(スマートIC)
    • 充電する端末に応じて最適な電流を自動的に選択して充電を行う機能です。
    • USB Type-Aポートに搭載された「Smart IC」により、接続した機器に合わせて充電器から出力する電流を切り替えます。
    • この仕組みにより、接続した機器に過剰な電流を流さず安全に充電できます。

2. 電力・容量に関する用語

  • 定格出力(W – ワット)
    • ポータブル電源が安全かつ安定して連続的に供給できる最大の電力を指し、単位はW(ワット)で表されます。
    • この数値が大きいほど、同時に動かせる家電の種類や数が増えます
    • 使いたい家電の消費電力に見合った定格出力を持つポータブル電源を選ぶことが重要です。例えば、1200W程度の電子レンジやドライヤーを使うには、最低でもその消費電力以上の定格出力を持つモデルが必要です。
  • 瞬間最大出力(W – ワット) / ピーク / サージ
    • ポータブル電源が短時間だけ出せる最大の電力を表します。
    • 家電製品の中には、起動する瞬間に最も消費電力が上がるものがあり、そのような製品を起動させるために用意されている機能です。
    • 定格出力とは異なり、長時間このW数を出力することはできません。
  • 電力(W – ワット)
    • 電気製品を動かすために必要なエネルギーの「力」を表す単位です。
    • 消費電力とも呼ばれ、電気製品の仕様書に記載されています。
    • 電圧(V)× 電流(A)= 電力(W)で計算されます。
  • 電力量(Wh – ワットアワー)
    • ポータブル電源が蓄えられる電気の「総量」を示し、「どれだけ長く電気を供給できるか」の指標となります。
    • 消費電力(W)× 時間(h)で表されます。
    • Whの数値が大きいほど、より長い時間電気を使うことができます。
    • 例えば、1000Whのポータブル電源は、100W消費する家電を10時間使用できるという意味です。
  • 電流容量(Ah – アンペアアワー)
    • ポータブル電源の電流の容量を示します。
    • 電流(A)× 時間(h)で表されます。
    • 例えば、100Ahのポータブル電源は、100Aの電流を1時間流せるという意味です。
  • 電圧(V – ボルト)
    • 電気を押し出す「圧力」のことです。
    • 日本の家庭用コンセントに来る電気は通常100Vが基準です。乾電池やバッテリーは数ボルト~数十ボルト程度です。
  • 電流(A – アンペア)
    • 電気が流れる「量」のことです。
    • 消費電力に比例して電流が流れます。

3. バッテリー技術と安全性

  • パススルー充電
    • ポータブル電源自体を充電しながら、同時に他の機器へも電力を供給する機能です。
    • メリット: 複数の機器を効率的に同時に充電でき、ポータブル電源を延長コードのように使うことも可能です。テレワークなど電源が限られる場所でも安心して作業ができます。
    • デメリット: パススルー充電中はポータブル電源がコンセントに接続されている必要があるため、持ち運びのメリットが一時的に失われます。また、常に充電と放電を繰り返すためバッテリーに負荷がかかり、寿命を縮める可能性があります。本体の温度が上昇し、トラブルの原因になることもあるため注意が必要です。
    • 注意点: パススルー充電を頻繁に行う場合は、バッテリーへの負荷を軽減できる「パススルー充電対応」と明記されているモデルを選ぶことをお勧めします。
  • UPS(Uninterruptible Power Supply – 無停電電源装置)
    • 停電が起きてしまったときに、接続されている機器へ電気を一定時間供給し続けるための装置です。
    • パススルー充電と似ていますが、UPSはバッテリーを介さずに機器へ直接電力を供給するため、バッテリーへの負荷が異なります。サーバーや医療機関など、電力が途絶えては困る場所で重宝されます。
  • BMS(Battery Management System – バッテリーマネジメントシステム)
    • ポータブル電源の「心臓部」とも言える技術で、普段は意識しなくてもバッテリーの内部を自動的に管理しています。
    • バッテリーの電圧、電流、温度を常に監視し、もし異常があれば保護回路を即座に作動させてバッテリーを保護します。
    • この機能により、電池の劣化を防ぎ、事故なく長い寿命を実現できます。
    • BMSの主な機能:
      • 過充電保護: バッテリーが満タンを超えて充電されないように監視し、過剰なエネルギー吸収を防ぎます。
      • 過放電保護: バッテリーが必要以上にエネルギーを失うのを防ぎ、回復不能なダメージや寿命の短縮を防ぎます。
      • 過電流保護: 電流が一定の限度を超えた際に自動で電源を遮断し、バッテリーや接続された家電を守ります。
      • 短絡保護(ショート保護): 突如起こる電気の誤った流れ(ショート)を検知し、電源を遮断して損傷や火災を防ぎます。
      • バランス機能: バッテリー内の各セルの電圧が均一に保たれるよう監視・調整し、バッテリー全体の性能低下や寿命短縮を防ぎます。
      • 温度保護: バッテリーが安全な運用温度範囲内にあるか常に監視し、過熱を防ぎます。
  • リン酸鉄リチウムバッテリー(LiFePO4バッテリー)
    • ポータブル電源に採用されるバッテリーの種類の一つで、安全性が高く、発火リスクが低いのが特徴です。
    • 熱安定性や耐久性に優れており、充放電サイクル数が多く寿命が長いとされています(例: 3,000回から4,000回以上で10年以上使えるモデルもある)。
    • 同じ容量の場合、三元系バッテリーに比べて体積が大きく、重量が重い傾向があります。
    • 低温環境下での電力損失は三元系バッテリーより高い場合があります。
  • 三元系リチウムイオンバッテリー
    • ポータブル電源に採用されるもう一つの主なバッテリー種類です。
    • エネルギー密度が高いため、同じ容量でも体積が小さく、重量も軽い傾向があり、携帯性に優れます。
    • リン酸鉄リチウムバッテリーに比べて熱分解温度が低い(200℃)ため、安全性に関しては本体全体の設計が重要になります。
    • 充放電サイクル数はリン酸鉄リチウムバッテリーより少ない傾向があります(例: 700〜1000回)。

4. 出力波形

  • 出力波形
    • ポータブル電源などの電源装置から供給される電気の波の形状のことです。
    • この波形は、接続される電気機器の動作や寿命に直接影響を与えます。
  • インバーター
    • ポータブル電源内部で、バッテリーに蓄えられた直流電流(DC)を交流電流(AC)に変換するための装置です。
  • 正弦波(純粋正弦波)
    • 家庭のコンセントから出力される電気と同じ、滑らかで連続的な波形です。
    • ほとんどの電気機器は正弦波に合わせて作られているため、用途を選ばず、家電に問題なく電力を供給できます。
    • 精密機器や音響機器など、波形の質に敏感な機器には特に不可欠で、電気ノイズが少なく、機器の故障や劣化の心配が少ないというメリットがあります。
    • 正弦波を出力できるポータブル電源は、一般的にコストが高い傾向にあります。
  • 修正正弦波(疑似正弦波)
    • 正弦波を近似した波形ですが、完全な正弦波に比べて波形が角張っています
    • 製造コストが低く、安価な電源装置に採用されることが多いです。
    • 一部の精密機器や高感度な音響機器には適していません。一般的な家電でも、突然動かなくなったり、故障したりする可能性があるので注意が必要です。
  • 矩形波
    • 波形が最もシンプルな形状で角張っています
    • 製造が容易で効率が良いため、低コストの電源装置に採用される傾向があります。
    • 使用できる電気機器が非常に限られており、日常的な利用には全く向きません。ノイズが発生しやすく、機器が適切に動作しない場合があります。

5. 安全認証

  • PSEマーク
    • 日本国内で販売される電気製品が、国の定めた電気用品安全法の安全基準を満たしていることを示すマークです。ポータブル電源選びの重要な判断材料となります。
  • UL規格 / CE認証
    • 製品が一定の安全基準をクリアしていることを示す国際的な安全認証です。UL規格はアメリカ、CE認証はヨーロッパの基準です。